@article{oai:senshu-u.repo.nii.ac.jp:00004396, author = {柴田, 弘捷}, journal = {専修人間科学論集. 社会学篇}, month = {Mar}, note = {本稿は、日本の非正規労働者(パート、アルバイト、派遣、契約、嘱託として就労している者)の現段階(2017年前後)の付置状況を明らかにしたうえ、労働契約法、労働者派遣法の改定で生じてきた有期契約労働者の「無期転換」(契約期間の無い雇用契約に転換)義務化の現状と問題点を明らかにした。 はじめに非正規労働者の増加、その中で生じている、雇用形態の多様化(非正規も含めて)、高学歴化、高齢化の趨勢を確認し、次いで、雇用形態別に性・年齢・学歴別の量的付置状況を統計データに基づき明らかにした。高齢者の割合が男女とも増加し、定年後の再就職の受け皿に非正規がなっていることを確認した。また、大卒以上層の増加(数、割合共)も確認した。また、ほぼすべての職業分野に進出しており、非正規依存率が5割を超える分野もあることも確認した。 非正規労働者の働き方は、若年のアルバイトや有配偶女性パートに年200日以下、週35時間未満就労者が多いことと、また、契約期間1年未満が多いことも確認した。彼ら/彼女らの年収は大半が150万円未満で、その理由に所得税、配偶者控除、社会保険料等に配慮し、就業調整をしている者も多い(特に有配偶女性)ことも確認した。他方、年間200日以上、週35時間以上という正社員並みに働いている非正規も多く、とくに、男性の派遣、契約、嘱託には年間250日以上、週43時間以上働く労働者も多いことも確認した。 現職に就いた理由では、パートやアルバイト、とくに有配偶女性には、時間自由、家計補助、家事両立などが多いが、派遣、契約には「正規がなかったから」やむを得ず現職に就いたという不本意就労者が相対的に多いことも確認した。転職志向者は20代後半から50代前半に多く、男性アルバイト、派遣、契約に比較的多く、転職希望理由は一時的な仕事と収入が少ないが主流であり、転職先は正規を希望している者が多いが、現実は、正規へ転職できているのは、男性36%、女性20%にすぎない。非正規内転職は男性6割、女性8割であり、特に女性パートの7割はパート形態内転職であった。非正規から正規への転職の難しさも確認した。 2012年の労働契約法改訂、15年の労働者派遣法の改定で、生まれた「5年ルール」「3年ルール」の実行状況は、統計データ的にはまだ明らかでないが、企業の対応を見ると、5年ルールに引っかからないよう契約期間を5年未満する、無期転換を受け入れるが、これまでの給料等労働条件をそのまま継続する、限定社員化する、正社員化する等との対応が見られた。 無期雇用転換は、非正規雇用の最大のメリットであった雇用の弾力化、雇用のJIT化が否定されるので、企業の様々な抵抗(ルール逃れ・脱法行為)が見られる。}, pages = {71--93}, title = {日本の非正規労働者問題(3)}, volume = {9}, year = {2019} }