Q. 機関リポジトリで論文を公開する際に関係する著作権は、どんなものがありますか?

A. 論文をリポジトリへ登録・公開するには、著作権のうち「複製権」と「公衆送信権」が必要です。
リポジトリへコンテンツをご登録くださる際は、著者の皆さまによって、これらの権利の行使を図書館に対してお認めいただくことが必要になります。
●複製権:著作物を有形的に再製することに関する権利。例えば、紀要の冊子を電子化することは複製にあたります。また、電子化したデータをサーバのハードディスクに保存することも複製です。
●公衆送信権:著作物を公衆向けに「送信」することに関する権利。電子化したものをリポジトリで登録すると、インターネットを通じて不特定多数の利用者へ公開することになりますので、公衆送信にあたります。
Q. 機関リポジトリに論文を登録すると、論文、学位論文等の著作権は図書館に譲渡することになるのですか?
A. いいえ。
著作権は、著作者に残り、図書館に譲渡されるものではありません。
リポジトリに論文を登録する場合、著作者は図書館に対してリポジトリの登録の許諾(複製権と公衆送信権の行使)をします。
これは、機関リポジトリでインターネットを通じて論文などのコンテンツを公開するために行うもので、著作権が図書館に移転するものではありません。
Q. 論文を投稿した際に、著作権を出版社(学会)に譲渡しています。その論文を機関リポジトリに登録することができますか?
A.出版社(学会)に著作権を譲渡している場合は、出版社(学会)の許諾を得ることで、機関リポジトリに登録することができます。
ただし、出版社が著作者自身の所属機関でインターネットの公開を行う場合に限り、許諾申請は不要などのところも多くありますので、出版社がどのような方針をとっているかを確認してください。
電子ジャーナルの全文ファイルの利用を許可している出版社、学会等を下記のサイトから確認することができます。
学協会著作権ポリシーデータベース(SCPJ)
SHERPA/RoMEO - Publisher copyright policies & self-archiving
Q. 共著者がいる場合、機関リポジトリで公表する際に共著者全員の許諾をとる必要はありますか?
A. はい。
著作権を個々の著作者が持っていれば、全員の同意が必要です。
ただし、第1章、第2章など、章ごとに著作者が異なる場合などは、自分が執筆したの部分のみを機関リポジトリに登録することができます。
Q. 既に販売している単行本で、著作の章部分のみの公開は可能ですか?
A. はい。公開は可能です。
出版とは異なり、インターネットで公開している機関リポジトリでは、章のみの公開が可能になります。
Q. 論文中に冊子への掲載のみを許諾されている挿絵がありますが、機関リポジトリに登録する際に再度、許諾が必要ですか?
A. はい。「機関リポジトリに登録するための許諾」が必要です。
論文中の挿絵や写真も著作物として保護されますので、掲載している著作物の著作権者に対して、複製し、公衆送信することの許諾を得る必要があります。
なお、許諾が得られなかった場合は、該当する部分を白く塗りつぶすなどして、公開しないようにすることが可能です。